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館長メッセージ
夢二郷土美術館館長 小嶋光信 何とも不思議な話ですが、この9月、夢二郷土美術館に黒猫の仔猫が住みついたんです。 館員の一人が、雨の日に出勤していると、新鶴見橋の西詰手前にある三叉路の交差点の真ん中で、轢かれそうになっていた仔猫を見つけました。そこで咄嗟に保護し、夢二郷土美術館に連れて来たのです。その仔猫が中庭に住みついた黒猫です。 小嶋館長代理から、可愛い黒猫の仔猫が美術館にいると連絡があり、早速、会いに行きました。初めて会った時、仔猫はまだ人見知りをして、ウロウロしていましたが、何と、夢二の『猫の豆本』の中にある夢二が描いた黒猫が現れたのかと思いました。 夢二生誕120年の時に、子どもたちが日本画に触れることが少ないと感じ、夢二ファンの世代のバトンタッチのためにも、夢二芸術に興味を持ってもらえるよう、サブテーマに猫を使いました。その時にメインに据えたのが、赤いリボンをつけた『猫の豆本』の黒猫です。その黒猫ちゃんに目の色までソックリなんです。 美術館で飼ったら?と言うと、猫好きの館員たちは「夜一人では可哀そう」「館内で飼うのは臭いや毛が飛んだりして良くない」「猫アレルギーのお客様もいる」云々と百家争鳴の如しで、当初は里親を探す方向でした。しかし里親もなかなか見つからず、「私が飼う!」と言うと流石に館長代理も参って、「私が飼います」と家族の一員になりました。飼い出したら、館長代理もあまりの可愛さにメロメロ。美術館に一緒に出勤して、中庭にベッドを買ってもらって、館員たちに可愛がられ、お客様にも懐いて、一躍、美術館のアイドルとなる兆しがみられました。 さて、クロちゃんをどうするか。庭が好きなので「お庭番」としてお客様の相手をしてもらうのも楽しいなと思いつきました。 名前を決めるときには、夢二さんなら何と名付けるかと考えました。夢二さんの長男の「虹之助(こうのすけ)」さんをヒントに、「コウノスケ」、クロなので「コクノスケ」ともじって、「お庭番」らしく「黒の助」としました。可愛らしい名前でしょう! 温室を改造したお家も作ってもらって、館員たちやお客様のアイドルとしてのデビューは、12月24日のクリスマスイブの日にして、クリスマスプレゼントとしました。「お庭番に任命し、黒の助と名付ける」と発令したら、元気に「頑張るニャー」とお返事してくれました。 黒の助を通して、夢二の「猫」の画から夢二芸術に子どもたちが触れて、日本のアートに興味を持ってくれたら幸いです。