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館長メッセージ
夢二郷土美術館 館長 小嶋光信 夢二郷土美術館の開館50周年を記念して、夢二の幻の油彩画と言われた『西海岸の裸婦』を公開できることは、アラン宮武さんの「夢二の画の里帰り」をさせたいというご好意のお蔭で、本当に感謝にたえません。 一昨年の生誕130年に続く今年の美術館開館50周年の記念に、是非、新たな夢二の一面を感じられる作品を公開したいと必死に探していました。ところが、それにふさわしい作品も出てこないので、もう無理かと半分諦めていたところに突如現れた朗報でした。 1931年、念願の外遊で、夢二が自らの画の新境地を求めて、白人のモデルを描いた裸婦の油彩画は、アメリカン・ビーナスとも言える新しい夢二式美人でした。 後期印象派に影響を受けつつも夢二自身の表現に挑戦しているこの油彩画は、今までの夢二の油彩画とは異なる明るいタッチと思い切ったストライプ柄をバックに、白人の女性の透き通るような白い肌をきっと苦心に苦心を重ねて描いたであろう逸品と言えるでしょう。 手放したくないという思いからか自らのサインを入れなかったこの画を、アメリカからヨーロッパに渡る際にお世話になった恩人へお礼としてプレゼントしたことや、夢二から画を贈られた宮武東洋さんが強制収容される時にもアメリカ人の友人に託けて難を逃れ、その後、宮武さんの一家が三代にわたって大事に保管され、今日のこの里帰りに結びつけてくださったことは奇跡とも言えるでしょう。『立田姫』が夢二にとっての「ミスニッポン」なら、この『西海岸の裸婦』は夢二にとっての「ミスアメリカ」と言えると思います。 アラン宮武さんも来岡されてのオープニングで、皆さんにこの幻の名画をご披露できることは無上の喜びです。 現存する数少ない夢二の油彩画の数々と、宮武東洋さんの貴重な写真とともに、85年の時を経て夢二の故郷へ里帰りした「ミスアメリカ」を是非お楽しみください。