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館長メッセージ

2012年に全国でも珍しい「こども学芸員」制度が夢二郷土美術館で始まって、早や12回目です。今年は、継続メンバー11名に加え新たに8名が加わって総勢19名となり、賑やかな任命式となりました。


こども学芸員制度ができて一番びっくりしたことは、こども学芸員の皆さんの夢二作品の評が素晴らしく心豊かでユニークなことです。


夢二芸術の礎には、誕生してから少年時代を広々とした岡山県邑久郡(現・瀬戸内市邑久町)の千町平野で過ごし、お祭りや農村歌舞伎など楽しい郷土文芸に触れ、とても楽しい幼少期を過ごしたことと、優しいお母さんと松香さんという美しいお姉さんの存在があると思います。「泣きたいくらいに懐かしい」、それが郷里岡山への彼の生涯変わらない想いだったのです。


そして、夢二はこの幼少期の「こども」の心を終生持ち続けたのではないかとその作品を見る度に感じています。だから、素直な心で夢二作品に触れ合う子ども達には夢二作品の奥底にある夢二の心が見えるのではないかとも思っています。


今日の日本の教育では、覚えることが主体となっており、もちろん、覚えることも大事ですが、何より重要なことは感性を磨くことで、幼い頃から良い作品に触れて込められた思いを感じること、それを素直に表現して他の人へ伝える=プレゼンテーションすることを学べる「こども学芸員」は、より良く子ども達の可能性を伸ばし、きっと一生、心に残る思い出となるでしょう。


小嶋ひろみ館長代理のアイデアで昨年から発足している夢二アンバサダー制度でのアンバサダーの皆さんのプレゼンテーションは、先輩から後輩への贈り物のような心温まるものでした。特に姉妹お二人で着物を着てのプレゼンテーションは、まるで夢二画から飛び出てきたかのように素晴らしく、可愛いものでした。


式が終わってから、お庭番猫の黑の助のファンでもある猫好きな低学年のこども学芸員さんが、メモ用紙に綺麗な字で「きょうはすごかったです。これからもがんばってください。」とのメッセージをくれました。


こども学芸員の皆さんが健やかに、学芸員の活動を通して夢二の研究から多くを学び、心豊かに育ってくれたら幸いです。きっと郷里岡山を誇りに思う夢二芸術の語り部として成長してくれると期待しています。