3月21日に竹久夢二のふるさと岡山で「竹久夢二研究の現在:世界に向けて」と題して、
初めての夢二国際シンポジウムを開催(主催:岡山大学文学部、共催:竹久夢二学会)。
岡山大学50周年記念館金光ホールにて13時から18時まで今日の竹久夢二研究について、
4ヶ国9名の講師からの世界的な視点も含めた興味深い研究発表に、各地から研究者の方を
含め150名ほどの参加がありました。
シンポジウム「竹久夢二研究の現在:世界に向けて」開催概要
日時:2016年3月21日(月)午後1時~6時
場所:岡山大学50周年記念館金光ホール
挨拶:荒木勝氏(岡山大学副学長)
小嶋光信氏(竹久夢二学会名誉顧問、夢二郷土美術館館長)
竹久夢二学会の会長に高階秀爾氏(大原美術館館長)、副会長に酒井忠康氏
(世田谷美術館館長)が就任されたご報告
趣旨説明:鐸木道剛氏(岡山大学、竹久夢二学会理事)
世界に発信すべき竹久夢二研究と本シンポジウムの意義について
基調講演:高階秀爾氏(大原美術館館長、竹久夢二学会会長)
演題「見知らぬ島へ -竹久夢二の夢と憧れ-」
夢二の本質を考察する中で、見知らぬ世界へのあこがれを基に、江戸、西洋といった
「異国」を巧みにとり入れて独自の世界観をつくり出し、現代までつながる夢二芸術の
影響を読み解かれました。
メッセージ:青木茂氏
美術史家である青木氏の夢二観を交えてシンポジウム開催の意義についてのメッセージを
頂きました。
新資料報告:小嶋ひろみ氏(夢二郷土美術館館長代理)
「渡米中に夢二が描いた油彩画〈裸婦〉について」
アメリカよりこのたび里がえりした夢二の油彩画〈裸婦〉、新発見の夢二の書簡についての
ご報告とともに、夢二の裸婦の表現についての考察。
報告:Sabine SCHENK氏(Ludwig-Maximilians-Universität München)
「欧州の行き帰り 竹久夢二」
世界初、アムステルダムの美術館「Nihon no Hanga」で開催された夢二の展覧会
「Takehisa Yumeji : Artist of Romance and Nostalgia」について、そして英語で
書かれた初めての夢二のカタログとなったこの展覧会の図録についてのご報告。
報告:直井乃ぞみ氏(Yale-National University of Singapore College)
「アムステルダム夢二展報告、欧米における夢二研究のこれから」
アムステルダムの美術館「Nihon no Hanga」で開催された夢二展について、
430点を超える夢二作品の版画を中心としたコレクションの詳細について、また
欧米での夢二の学術的研究 が現在注目されつつある状況、その研究の意義に
ついての考察。
報告:荒木瑞子氏(夢二研究家)
「夢二をめぐる人々 夢二と岡山」
夢二が大正3年に行った岡山で初めての展覧会が繋いだふるさと岡山での人々との
関わりについての研究報告。
報告:金英順氏(韓国釜山市立美術館館長)
「夢二が生産した女性像:帝国のアルカディアと植民地のユートピア」
モダンな女性像が批判の対象であった1900年代の朝鮮と夢二の女性像が消費された
日本との比較、現代におけるネオ・ジャポニスム復活の可能性への考察。
コメント:稲賀繁美氏(国際日本文化研究センター)
メディア史から見た夢二、地方で夢二が行った展覧会から見える当時の世相、
海外における夢二の可能性の3点についてパネリストへの疑問の投げかけ。
全体討議:司会 鐸木道剛氏(岡山大学) パネリスト 講演者全員
様々なメディアの統合を図り、日本の交通面での利便性を利用した伝達をうまく活用した
夢二。画壇に属さずに大衆文化への影響が大きかった存在としての夢二の研究はますます
重要になっている。
閉会の挨拶:岡部昌幸(帝京大学、竹久夢二学会理事)
主催:岡山大学文学部
共催:竹久夢二学会
後援:美術史学会、明治美術学会、大正イマジュリィ学会
助成:公益財団法人 両備檉園財団
特別協賛:(公益財団法人)両備文化振興財団 夢二郷土美術館
司会:上薗四郎氏(笠岡市立竹喬美術館館長)
夢二研究の現在を知ることによって、これからの研究の盛り上がりを大いに期待させる
シンポジウムとなりました。
当館館長代理である小嶋ひろみよりご報告した新資料の油彩画〈裸婦〉は7月5日(火)
からの企画展にて初公開いたしますのでご期待ください。
小嶋館長のメッセージはこちらから
https://yumeji-art-museum.com/%E9%A4%A8%E9%95%B7%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8/
竹久夢二学会事務局 夢二郷土美術館(086-271-1000)