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館長メッセージ
夢二郷土美術館
館長 小嶋光信
夢二郷土美術館の開館50周年を機に、本館を岡山後楽園そばに移設(1984年)以来33年ぶりに初の全面リニューアルをしました。
リニューアルに当たり、20世紀に郷土・岡山に生まれた世界のマルチアーティストの夢二が求め続けていた「心の詩を描く」こと、「暮らしの中に芸術を」という思いを表現してくれるのは、同じ郷土・岡山が生んだ世界的デザイナーの水戸岡鋭治さん以外にはないと考えて、水戸岡さんへお願いしました。
リニューアルのテーマは、「夢二作品鑑賞の満足度を上げる」です。
改装に当たっては、
1.美術館の回遊性を創り、ゆっくりご覧いただくことで、滞在時間を延ばし、満足度を高めます。
4室だった展示室を2室増やして6室とし、プレゼンテーションルーム(第1展示室)で夢二のふるさとを紹介する映像をご覧いただき、年に4回開催する企画展室(第2-4展示室)を大きなタペストリーで分け、特に大きな空間である第3展示室も区分けして各テーマ、また作品と対峙できるよう椅子も配置し、余韻を感じられる展示室としました。
2.第5展示室は「お庭番ねこ〈黑の助〉ルーム」です。黑の助は、2016年夢二生誕月の9月に、館員によって車に轢かれそうになっていたところを保護された黒猫です。夢二の絵によく出てくる黒猫にそっくりなことから、何かのご縁だろうということで当館の「お庭番 黑の助」としてお客様に愛嬌を振りまいて、人気者となっています。夢二芸術の次世代への伝道が当館の使命の一つですが、それには次代を担う子ども達がこの夢二の黒猫と黑の助を通して、楽しみながら自然と夢二のファンになっていくことが大事だと思っています。
黑の助は、最初は慣れなかった「番小屋」にも慣れて、番小屋の中二階に座っていると置物かと見間違うばかりの可愛さです。
3.第5展示室から中庭へ、そして第6展示室へとつながる回廊で美しいしだれ梅のあるお庭と竹林の風情をお楽しみいただけます。
4.第6展示室は、夢二が終生追い求めた「暮らしの中に芸術を」の夢を体感していただくために、展示室内にカフェを併設し、紅茶と夢二が愛したヨーロッパの焼き菓子の「ガルバルジィ」や大正ロマンを彷彿とさせる洋食などを楽しんでいただきつつ、室内にチョッとした版画やデザインがあると、如何に生活が潤ったものになるかを感じていただければ幸いです。
5.照明を全面的に替えて、作品の保存と鑑賞をしやすくしました。
6.門扉を設けて、入口から大正ロマンの夢二の雰囲気を創り上げました。
以前はチェーンだけで、どこから道路でどこからが美術館かが分かりづらかったのですが、これで美術館らしく整然とした趣となりました。
このリニューアル・グランドオープンをもって、美術館開館50周年記念事業として、『西海岸の裸婦』という素晴らしい夢二晩年の油彩画の里帰りを果たし、子ども達を夢二へと繋ぐ「お庭番 黑の助」が登場し、夢二のマルチアーティストとしての幅広さと素晴らしさを満喫できる美術館の全面改装が出来上がりました。
12月19日(火)から、リニューアルオープン記念展として、「THE夢二郷土美術館COLLECTION」を開催します。当館が誇るコレクションの中から、夢二の代表作を中心に厳選した名品を一堂に公開しますので、是非、お楽しみ下さい。
次は、いよいよ再来年の「夢二生誕135年記念展」に向けての始動開始です。
是非、おじいちゃん、おばあちゃんはじめ、ご夫婦とお子さんの三世代で、リニューアルした夢二郷土美術館へ気楽にお越し下さい。きっと今まで感じられなかった、新たな夢二芸術の素晴らしさを実感していただけると思います。
皆さまのご来館を黑の助とともにお待ちしています!