―生誕130年を迎えて―
東洋のベル・エポックに生きた夢二と大正ロマン

夢二郷土美術館
館長 小嶋光信

大正ロマンで名を馳せた竹久夢二も今年9月に生誕130年を迎える。「夢二式美人」という夢二独特の美人画が有名だが、果たして夢二は美人画だけだろうか。夢二は元々、詩人を志したが、詩では食べていくことが難しく、新聞のコマ絵(挿絵)から身を立てていった。彼の絵は、心の中の詩を描いたものであり、単なる美人画と違い、見る者の心に訴えてくるものがある。

夢二の故郷である岡山では、夢二コレクターであった故・松田基氏の収蔵の作品が、夢二郷土美術館本館と夢二生家に展示されている。
夢二郷土美術館が敢えて郷土と謳ったのは岡山県を代表する大正ロマンの詩画人・竹久夢二の故郷にあることは勿論、岡山が雪舟や竹喬を生んだ豊かで文化性が高い土地であったればこそ、多彩で感性豊かな夢二芸術が育まれたという意味が込められているためだ。

生誕120年の際には、初めて、竹久夢二伊香保記念館と夢二郷土美術館が展覧会を共催し、夢二の愛した二つの故郷、即ち岡山と榛名山をテーマとした夢二芸術の全てを皆様に見ていただくための競演が実現した。

夢二郷土美術館は、夢二の大作の肉筆画などを中心に数多くの収集があり、竹久夢二伊香保記念館は、岩波書店の元役員の故・長田幹雄氏が集めた本の装丁や挿絵、デッサンなどが中心で、二つの美術館の収蔵を合わせると詩人であり、画家であり、デザイナーであるマルチアーティストともいえる多彩な夢二の全体像が分かるといえる。

夢二には、生まれ故郷である岡山と、その晩年にこよなく愛した上毛三山の一つである榛名山が心の故郷であると思う。この二つの故郷から夢二を見ることが一番夢二の作品を理解できると思って企画した。

さて、今回、生誕130年にはいかなる企画が相応しいか、大いに悩み考えた挙句、あのフランスのミシュランの日本版に夢二郷土美術館が掲載され、夢二が「日本のロートレック」として紹介されたことが頭をよぎった。世界のミシュランに認められる光栄に浴し、当館が一つ星の美術館として評価をいただいたことから、夢二とロートレックを企画の中心として生誕130年に相応しい催しにしようと考えた。

フランスを中心にベル・エポックと呼ばれる時代とともにジャポニスムが一大ムーブメントになっていくが、その時代に生き、西洋と東洋で、共に浮世絵や版画などの日本の文化に大きな影響を受け、自らの作品に取り入れていったロートレックと夢二の二人の対比を通じて、これまでとはまた違った面から夢二芸術を深堀していきたいと思う。

この髙島屋巡回展「ベル・エポックを生きた夢二とロートレック」をメインに、下記のように生誕130年らしい数々の企画を計画している。

  1. 竹久夢二生誕130年記念特別展
    1. 本館企画展として、

      3連続企画で生誕130年記念展「夢二の愛した…」をテーマに、下記の日程で特別展をお楽しみいただきたいと思っている。

      3/18~6/1
      「夢二の愛した女たち」 新収蔵図案初公開、伊香保からデザイン図案を借用
      ロマン写真館、文化講座、こどもの日夜間特別開館(こども招待)
      6/3~8/31
      「夢二の愛したこどもたち」
      こども新聞教室・バスツアー、くるみボタンづくりワークショップ、夜間特別開館
      9/2~12/7
      「夢二の愛した日本」 新収蔵品ペン画公開
      こども新聞授賞式、岡部先生文化講座、夜間特別開館
    2. 生家催しとして、
      • 2/26~4/3 「桃の節句」雛飾り、3/2には梅こぶ茶ふるまい、ぜんざい販売(100円)
      • 4/28 ロマン写真館
      • 4/5~5/11 「端午の節句」こいのぼり、5/3にはこども人形劇
      • 7/5~8/7 「七夕」笹飾り(オリジナルハガキプレゼント)
      • 9/14 生誕130年記念アコーディオンコンサート(桧山先生)
      • 10月末~11月中旬 「重陽の節句」 11/8には津軽三味線と大正琴コンサート
    3. 生誕130年記念グッズ販売として、
      • 倉敷帆布タケヤリとのコラボバッグ作成
      • 生誕130年記念 マスキングテープ作成
      • クリアファイルホルダー作成
  2. 記念イベント
    水戸岡鋭治デザイン夢二生誕130年記念号 ラッピング車両製作

    公共交通を一つの核とする両備グループらしい記念イベントとして、電車やバスを使って生誕130年を祝い、盛り立てていきたい。

    1. 路面電車KUROを使用 「KURO×夢二」電車 運行予定:東山線一日5往復
      *但し冷房使用期間は運休
    2. 両備グループバス事業、路面電車 夢二郷土美術館 初のコラボ企画
      夢二夜会電車「夜の美術館・後楽園散策、レストラン電車のセット企画」の運行
      実施日 / 夏:MOMO: 8/8,12,22    秋:KURO:11/4,8,15
    3. 岡電路線バスボディ看板  3両(夢二郷土美術館本館(中区浜)をメインとする路線に導入
    4. ニッコー観光バス㈱(東京都品川区八潮三丁目2番32号、社長:小嶋光信、平成24年4月両備ホールディングス㈱が事業継承、首都圏にて貸切バス事業及び旅行業を展開)
      新車2台 ラッピング「夢二バス」を製作
  3. 髙島屋巡回展

    京都店(8/27~9/8)、岡山店(9/11~9/23)、日本橋店(9/26~10/6)、横浜店(10/15~10/27)で、「ベル・エポックを生きた夢二とロートレック」として巡回展を催す。
    *ベル・エポック(フランス語: Belle Époque, 「よき時代」の意)
     【監修】岡部昌幸・帝京大学教授

  4. 特別イベント

    今回は、更によりよく夢二芸術を理解していただけるように、パネルディスカッションや夢二学会の創設で夢二研究を継続していきたいと思っている。

    1. 生誕130年記念パネルディスカッション
      水戸岡先生×館長×こども学芸員(9/13予定)
    2. 東京で夢二学会立ち上げ(9/27予定)
    3. スーパー観光ガイド・崎原さんの松香ツアー(リョービツアーズ、フレンズパック)
    4. 生誕記念伊香保ツアー(リョービツアーズ、フレンズパック)
    5. 夢二タクシープラン改正
    6. 瀬戸内市との連携 夢二のふるさと実行委員会立ち上げ予定
  5. その他
    • カルチャーゾーン連携PR
      ロマン写真館にあわせて人力車でカルチャーゾーンを巡ってPR(4/26)
    • 別冊太陽 夢二特集号 8月発行 作品画像協力、原稿協力

    ロートレックは絵画を中心にしたが、夢二は、心の中の詩を絵として描いた画家であり、詩人であり、デザイナーであり、庶民の暮らしに芸術を持ち込もうとした生活クリエーターでもあった。今日ではマルチアーティストという表現が一番ぴったりとするだろうが、その集大成として夢二は、「庶民の暮らしに芸術を」という思いで「榛名山美術研究所」の建設を計画したが、志し半ばで病に倒れた。
    その夢二の精神を受け継ぎながら、永遠に夢二芸術を研究し、伝えていく第一歩としての生誕130年にしたいと思っている。